分筆か共有で税が違う

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分割協議で土地を分筆または共有?…相続税額は路線価次第!



分筆か共有で税が違う

土地の評価


表通り(路線価20万円)と裏通り(路線価10万円)の二つの道路に面した、400uの土地があります。この土地の評価は、奥行補正や二方加算等は割愛して…400u×20万円=8,000万円です。
「相続税」は、土地について、相続人ごとに評価します。この土地の所有者が死亡した場合…全部一人で相続すると、相続税の課税対象は、8,000万円になります。
ここで、所有者の相続人は、兄と弟とします。兄弟は、土地を真ん中で分筆します。

路線価次第


表通り側200uの土地を兄が、裏通り側200uの土地を弟が相続すると…兄の相続税評価額は200u×20万円=4,000万円、弟の相続税評価額は200u×10万円=2,000万円です。
弟が相続した土地200uは、適用する路線価が10万円である、裏通りにしか接していません。こうして、二つの土地の評価額の合計は、6,000万円になります。全体の評価額は8,000万円であっても、分筆したことで、6,000万円になるのです。
では、400uのうち表通りに接する10uを幅50センチの帯状にして、残り390uを裏通りにだけ接するように分筆したら…〈これではあまりにも不合理〉とされ、認められないでしょう。残念ですが。

共有?


さて、土地を真ん中で分筆した兄弟は、二人で6,000万円に対する「相続税」を納税しました。そして数年後、兄弟共に、土地を売却することになりました。時価としては、土地の全体が表通りに接する価格…相続時の8,000万円相当になるはずです。
最初から、〈売却して二等分する〉ことが前提ならば…普通は、兄弟の《共有》にするでしょう。兄弟それぞれが、土地全体を半分ずつ相続するのです。この場合の「相続税」は、一人当たり、8,000万円×1/2=4,000万円に対する課税です。

分筆!


ところが、分筆によって…土地全体の相続税評価額は、兄弟合計で8,000万円ではなく、6,000万円で済みました。そして、評価6,000万円の土地を売却するときの価格は、8,000万円相当なのです。
普通のやり方では、相続後、兄弟の《共有》では売れない可能性もあります。(兄弟喧嘩などで…)だからこそ、「相続税」は、相続人ごとに分けて評価されるのでしょう。

広大地の評価減


本来の評価額が1億円である、1,000uの土地があります。この土地を、兄弟で500uずつ分筆して、遺産分割するとします。
広大地の評価額は、2004年の通達改正によって、大きく下がっています。広大地に該当した場合…「相続税」の課税対象は、細かい評価方法は省略して、本来の評価額の55%である5,500万円になります。
しかし、その地域の500uが広大地に該当しない場合は、広大地としての評価減はありません。兄弟それぞれの評価額は、本来の評価額である1億円の50%の、5,000万円となります。課税対象は、二人あわせて1億円です。

共有して分割


では、1,000u全体について、兄弟が半分ずつ相続すると…広大地に該当する、1,000uで評価額が5,500万円の土地を、各2分の1ずつ《共有》で相続するわけです。兄も弟も2,750万円ずつ、合計で5,500万円に対する「相続税」となります。
そして数年後…兄弟は、共有物であるこの土地を、分割することになりました。
「譲渡税」について、通達(所基通33-1の6)は…
〈共有に係る土地を持分に応じて分割したときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う〉
と、定めています。土地を等分に分筆して分割すれば、課税は生じないのです。

仲良く分筆


上記のどちらとも、兄弟それぞれが、500uで分筆された土地を取得しています。しかし、「相続税」は、大きく違うのです。
分筆した上で相続するか、《共有》で相続してから分筆するか…遺産分割は、「相続税」を意識した、腕の見せどころです。相続人同士の仲が悪ければ、論外ですが。実行の際は、自己責任をお忘れなく…。

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