終身定期金で代償分割

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代償分割と配偶者控除で次の相続税が減る?…遺産分割協議で終身定期金の採択!


注意…一部その後の税制改正の影響を受けます

年金の相続


「個人年金保険」の年金受取人である父が、『確定年金』を、受け取ります。年金年額は100万円、年金の支払期間は20年です。『確定年金』の年金受取人が死亡した場合、以降は相続人が代わって、期間満了まで年金を受け取れます。
さて、年金支払開始の5年経過後に、父が死亡します。年額が100万円で、残存期間は15年ですから…相続人が受け取れる年金総額は、1,500万円になります。

年金で節税


「相続税法24条」により、年金受給権等の『定期金』については、評価方法が定められています。残存期間15年の場合、年金総額の50%で評価されます。つまり、「相続税」の課税対象は、1,500万円×50%=750万円だけなのです。
この評価方法は…年金支払開始以降早期に亡くなるほどに、節税効果が大きくなりますす。長生きして年金を最後まで受け取ると、効果は無いわけです。
幸か不幸か…ビミョ〜な相続税対策ですね。相続開始は予測不能の将来ですから、その時の相続税法も分かりませんし…。

終身でも節税


相続税法の文言は『定期金』であり、上記のような確定年金(税法上は《有期定期金》)だけでなく、終身年金(同《終身定期金》)についても定められています。
40歳の人が、生涯にわたり年金100万円を受け取る(終身定期金)場合…評価額は、年金年額の8倍と、定められています。70歳までの30年間に100万円を実際に受け取れば、3,000万円になります。しかし、評価される額は、わずか800万円なのです。

代償分割?


父が死亡しました。相続財産は、現金で4億円のみです。
遺産分割協議が行われ…
〈母は現金2億8,000万円を相続して、毎年1,000万円ずつ子が死ぬまで支払う。残りの現金1億2,000万円は子が相続する。〉
‥という内容で、決着しました。
母は現金2億8,000万円を相続しますが、毎年1,000万円の終身定期金支払義務を負います。子は、毎年、死ぬまで1,000万円を受け取ります。
この《終身定期金》の相続税評価は…子が40歳の場合、その評価額は、8,000万円(定期金額×8倍)です。

非課税!


一方、支払義務を負う母親は、相続財産から《終身定期金》を控除できます。
母の相続税課税対象額-現金2億8000万円−8000万円(終身定期金支払義務)=2億円、子の相続税課税対象額-現金1億2000万円+8000万円(終身定期金の権利)=2億円。
…プラスマイナスゼロですね。
そして、配偶者が遺産の半分を相続する場合、『配偶者控除』により非課税になります。このケースでは、配偶者に「相続税」はかかりません。
28年後…母が死亡しました。母は子に、毎年1,000万円ずつ支払っていました。母の預金2億8,000万円は、年金支払いによって、ゼロになっているはずです。
…母の遺産が無いので、「相続税」はかかりません。

評価に感謝?


父の相続で、現金4億円を、単純に母子で二等分していれば…預金はそれぞれ2億円であり、母の預金が残っていれば、「相続税」がかかったのです。
「相続税法24条」における《終身定期金》の評価は…25歳以下-11倍・40歳以下-8倍・50歳以下-6倍・60歳以下-4倍・70歳以下-2倍・70歳超-1倍‥となります。平均余命等で行うべき評価が、アバウトに《8倍》などと、片付けられているのです。
『定期金』の相続税評価がテキトーなおかげで、母の相続が非課税になりました。

実行は慎重に!


分割協議書に記載するとき、文言表現には注意が必要です。〈母は子に1億円を支払うが、10年間の分割にする〉‥という記述と、〈年1,000万円ずつの定期金を、10年間支払う〉‥という記述では、内容が異なります。
また、課税の扱いには一部異論があるようで、厳しい調査もありえます。『定期金』による節税対策は、専門家に確認して相談の上、実行しましょう。あくまでも、自己責任です。
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