相続税の税務調査…過去から家族名義まで・金融資産を徹底チェック!
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始まりは申告
1999年6月19日、読売新聞の記事によると…亡き渡辺美智雄議員の遺産相続で、1億円の申告漏れがあったようです。
‥‥親族などの名義の株式や預貯金などは、美智雄氏の生前の資金で購入されたり蓄えられたもので、遺産に含めるのが妥当だったことが判明。‥‥
「相続税」の申告書を提出すると…その年か翌年の秋に、『税務調査』が行われるのが一般的です。申告書の提出期限が死亡後10ケ月ですから、さらに後の「税務調査」は、まさしく〈忘れた頃にやってくる〉のです。
調査開始
午前10時頃になると、一人か二人の調査官が自宅を訪れます。日時は、打ち合わせしてあります。何人もが、令状をかざして突然踏み込むことはありません。『マルサの女』は、あくまでも《映画》なのです。
自宅にやってくる税務署の調査官はほとんどの場合紳士です。失礼なこしをしたり不躾なことをいうこともありません。
調査は穏やかに始まり、お茶を飲みながら、とても和やかな雰囲気で始まります。相続人(故人)の思い出話で盛り上り、『調査』であることを忘れてしまいそうです。でも『調査』なのです。
こうして、調査官と仲良くなったきがして…思わず、口がすべる(?)場合も多いようです。それも『調査』テクニックです。調査官は、談笑しながら…「そうですか故人はゴルフがお好きでしたか」と話しながら〈ゴルフ会員権は申告されていたかな?>と考え、「奥様はずっと専業主婦だったのですか」と話しながら<奥さん名義の預金に注意しよう〉‥など、脳内は、フル回転ですが。
本題突入
歓談後、多くは昼食後に、調査官が、「恐縮ですが故人の通帳を拝見できますか」と切り出し、「はい」と言って2階に取りに行こうとすると、「ご一緒してもよろしいでしょうか」。やましくないから、「はい」。故人の通帳を取り出す時、家族の通帳が隣に見えます。
調査官は、「それも拝見してよろしいでしょうか」と小さな声。やましくないから、「はい」と答え…気がついたら、調査官のペースです。
瞬く間に、あらゆる収納が全開になり…通帳に印鑑・手帳やメモ・香典帳・電話帳‥等々など、一切合切、確認されます。「このノート類を開いてもよろしいでしょうか」。もう「はい」がクセになっています。これは、映画に出てくる《相続税調査》にちかくなってしまいます。
探すのは?
「相続税の調査」とは…〈預貯金などの金融資産を探すことである〉‥と言って、よいでしょう。過去から現在へと金銭の授受を追い、大きな動きを入念にチェックします。死亡する1年前に引き出した預金などは、瞬時に判明してしまいます。
日本で、個人の財産といえば…土地が大きな割合を占めますが、所有者ごとの一覧表となる『固定資産税課税台帳』があります。それに登記もしています。過去に土地を売却したときの申告資料も、税務署に残っています。ですから、《土地隠し》の調査は隠すことはあまりないでしょう。なお娘の嫁ぎ先や息子の自宅についてはチェックされることも多いようです。なお土地について問題となるとすれば、それは評価額についてでしょう。
そて通帳の存在を確認した税務署は…銀行に、家族分を含めた預金確認の照会をします。ただ事前に確認済みのことも多いのですが。メモ・電話帳・香典帳で、申告書には記載が無い銀行を見つけたら、それは真っ先に確認です。
金融機関は、税務署に対して従順です。包み隠さず、全て教えてしまいます。
隠し財産!
さて、申告漏れの預貯金さがしの大きなターゲットとして、《名義預金》と呼ばれる、家族名義の預貯金等があります。専業主婦である妻に、数百万円の預金があれば…〈無収入の人が名義の預金は、故人の預金である〉と、認定されます。
〈生活費の積み立てであり、妻のもの〉‥と言ってみたり、〈贈与されたお金よ!〉‥と言ったら〈贈与税の申告したの?〉と言われたり、〈実はヘソクリ〉…いろいろと交渉の材料がでてきます。
通常の一般家庭での税務調査は…<「隠し金融資産」と「名義預金」探し〉とも、言えるのです。調査に備え、税理士に依頼して、予行演習をしておくといいですね。