農業していれば相続税が安い?…厳しく調査・農地納税猶予の特例!
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都市農家課税
地方の純農地と呼ばれる農地は宅地化が認められません。当然に相続税評価額は低く税金の心配はあまりありません。一方で都市部の農地において、宅地並み課税の農地、すなわちいつでも宅地化ができる相続したときは、安い農地のの評価額ではなく、住宅等の宅地同様の評価額としての「相続税」が課税されます。
その一方で、これら《都市農家》に対しては…「農地の納税猶予」と呼ばれる制度があり、相続税負担が緩和されています。
三大都市圏特定市の市街化区域内には、環境保全などの目的から、宅地化しない農地つまり『生産緑地』に指定を受けられる農地があります。本来は宅地化できる地域なのですが、宅地にしないことを約束する代わりに税金をほとんど課税しないという農地です。
この農地を相続して、以降生涯にわたり死ぬまで農業を続けた場合、この農地に対する「相続税」のほとんどがが免除されます。
これは、「相続税」について…〈生涯継続の結果として、課税の免除が決定するまでは納税を猶予している〉‥ということです。
農家優遇の不公平
大口の資産家は、「相続税」について、国税局の厳しい調査を受けます。税務署は、管轄外です。
相続税の税務調査で注目されるのは、《隠しやすい財産》のる、金融資産がほとんどです。多額の金融資産がありそうな人…企業オーナーや医師等‥が、調査対象になるのです。
さて、農家への税務調査はそれよりも少ないようです。土地は売るほどあっても、お金は無さそう(失礼!)ですし、土地は、《隠しようがない財産》ですし。
国税局の始動
これには、〈農家だけズルイ〉‥と、都市部の資産家は不満です。そこで(?)、農家に対する調査は厳しくなりました。農地には甘かった納税猶予が厳しくなります。
《納税猶予に対する税務調査》とは…〈約束の通りその土地で農業をしているか〉を調査するのであって、《隠し財産の探索》ではありません。現地を訪れ、〈何を栽培して幾らで出荷するか〉‥について、確認する調査です。
農業していない?
ある市街地の農家が、農地1,000坪に対して「相続税」1億円の納税猶予を受けています。1坪あたりの「相続税」は、10万円になります。
さて、調査の結果…1,000坪のうち100坪は駐車場に転用され、〈農地ではない〉と判明しました。すると、その100坪分の「相続税」である1,000万円の納税猶予が取り消され、納税が確定します。更に、の利子税が、年数分かかります。
『相続』の申告時から5年経過していれば、利子税6.6%とすれば、利子税6.6%×5年で330万円、10年では660万円。発覚(?)が遅れるに従って、納税額が膨らみます。
納税プラス利子!
〈農業していない〉と判断された面積が、納税猶予されている農地全体の20%を越えると、猶予額全額を納税することになります。
この農地1,000坪のうち、201坪が農業をしていなければ…201坪に対する2,010万円だけでなく、納税猶予全額の1億円に加えて利子税を納税するわけです。相続後に地価が下落していれば、全ての土地を売却しても、支払い困難な税額かもしれません。
三大都市圏の場合、『生産緑地』に指定されると、30年間は宅地に転用することができません。しかし…「相続税」の調査では、〈農業していない〉と判断されて、宅地並課税となる可能性もあるのです。
農業と農地
〈農業していれば相続税が安い〉‥という《農地納税猶予の特例》は、農家への優遇税制ですから、都市住民との公平性を考えれば、厳しくチェックされるのでしょう。
税制で求められる『農業』の定義は、極めて緩やかです。収益を求めない《自給自足用》でも、勤め人の《休日農業》でも、OKです。
しかし、『農地』となると…他人に貸したり、駐車場やアパート敷地にするのはご法度です。決して、《緩やか》ではありません。
税務署の方が農業委員会より、格段に怖い存在かもしれませんね。