公正証書贈与の実際

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公正証書の生前贈与



贈与税は相続税の補完税といわれています。親の財産が子に移る時に相続税という税金を課税しますが、贈与されてしまうとくにとしては相続税を課税できなくなってしまいます。そこで相続税よりも重い贈与税という税金を用意しました。これにより相続税逃れをするために贈与をすることを防いでいるのです。ちなみに贈与税法という法律はなく、相続税法の中で規定されています。

すると贈与税をのがれて贈与しようとするケースがでてきます。贈与税にも時効があります。贈与をしてそのまま黙っていて、税務署に見つからなければいいのです。

まず「親から子へ不動産を贈与する」という公正証書をつくります。公正証書ですから公証人も立ち会います。弁護士が立ち会うこともあるでしょう。贈与すれば不動産の所有権移転登記をするのが普通です。しかし贈与登記をするとその資料が税務署にながれて贈与したことがわすります。そして贈与税課税がされるでしょう。

そこで登記はしません。日本では登記をするしないは自由です。贈与したけれども贈与登記をしないということは法的に悪いことではありません。

そのまま時が流れます。贈与の事実は公正証書にあるだけです。公正証書は契約当事者が保管する契約書の他には公証人のところに保管されるだけですが、税務署がそれを知る余地はありません。

贈与税の時効が過ぎます。これで贈与税の心配はなくなります。そして親の相続が起こります。相続税の申告をしますが、その土地はすでに贈与を受けたものですから、相続税の申告対象にはしません。贈与税はもちろん時効です。

そして税務署はその事実に気が付きます。さあどうなるでしょうか。税務署は「実態は死因贈与(相続税の対象)だ」・「仮装行為だ」といって課税してきます。
子は国税不服審判所で争います。


■公正証書を作成して被相続人の生前に贈与を受けたものであるとする不動産について、生前贈与ではなく死因贈与により取得したものと認定した事例

 被相続人と請求人らは、公正証書を作成し、不動産を贈与する旨の合意をしたが、被相続人は公正証書を作成してから死亡するまでの約6年間不動産を従前どおり自己の所有物として管理し、使用収益していたこと、被相続人には公正証書作成当時同人の死亡後、同人の財産の分割等が支障なく行われるであろうという思惑が存在したことが十分うかがわれることなどから、公正証書による合意の真の内容は公正証書記載の贈与を即時に行うというものではなく、むしろ、死因贈与契約をしたものと認めるのが相当であり、贈与の効力は被相続人の死亡により生ずることとなったものといわざるを得ない。
昭和57年10月8日国税不服審判所裁決




■公正証書による贈与契約は相続税回避のための仮装行為であるとした事例

 請求人は、本件贈与契約公正証書に記載された財産は相続開始前であるその作成日付の日にその被相続人から贈与を受けた財産であるから、相続財産から除外されるべきであると主張するが、本件各証拠資料により認められる各事実を総合すると、本件贈与契約は、公正証書による贈与契約の形は存在するけれども、当事者の客観的真意とは別になされた仮装の行為とみるのが自然かつ合理的であって、これをこのまま承認することは、租税負担の公平の見地からも採り難いところというほかない。
 したがって、本件公正証書に記載された財産は、相続時において請求人のものではなく、被相続人の相続財産であるとした原処分は相当である。
昭和46年9月27日国税不服審判所裁決





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