贈与金で生命保険
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名義預金と近いものに生命保険をつかったものがあります。毎年親が子にお金を贈与します。子は親に生命保険をかけます。その保険料は親から贈与で受け取ったお金をつかいます。親がなくなると保険金が保険会社から支払われます。
契約上では子が契約者であり、子が保険料を払い、子が保険金受取人です。相続税がかかる余地はありません。税法からは子は自分で払った保険料の結果として保険金を受け取ったのですから相続税ではなく子本人の所得税の課税対象です。普通の人ならこのようなことをすると余計な税金を払うことになりますが、ケースバイケースですが、資産家に限って所得税が有利になることがあります。
税務署側は面白くありません。親が保険料を払ったなら相続税の課税対象になります。いったん贈与というステップをふんだだけだから、似たようなものだとして相続税の課税処分をしました。国税不服審所はそのような税務署のやり方を認めずに課税処分の取り消しをしました。
この決定をもとに各保険会社は「贈与ブラン」といった名前で相続税対策用の生命保険を販売するようになっています。
■毎年保険料相当額の贈与を受け、その保険料の支払に充てていた場合における受取保険金は相続により取得したものとはみなされないとした事例
未成年者である請求人が受け取った保険金については、[1]その保険契約を被相続人が親権者として代行し、保険料の支払に当たっては、その都度被相続人が自己の預金を引き出して、これを請求人名義の預金口座に入金させ、その預金から保険料を払い込んだものであること、[2]保険料は、被相続人の所得税の確定申告において生命保険料控除をしていないこと、[3]請求人は、贈与のあった年分において贈与税の申告書を提出し納税していることから、請求人は贈与により取得した預金をもって保険料の払込みをしたものと認められるので当該保険金を相続財産とした更正は取消しを免れない。
昭和59年2月27日国税不服審判所裁決