配偶者税額軽減(基礎10)

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配偶者の税額軽減 相続税の計算4


 「相続税」とは、財産が次の代に移るとき…つまり、子が親の財産を『相続』したときなどに、税金をかけようとするものです。社会的な公平感を保つために課税して、その吸い上げた税金を…さらに社会的に(?)、再配分するのです。

 しかし、配偶者間の…妻が夫の『相続』をした場合には、財産は次の代に移りません。『相続』をした妻も、いずれは死亡します。その時は子が妻(母親)の『相続』をすることになり、今度こそ(?)、財産が次の代に移ります。ですから、その時に「相続税」を課税すればいいわけです。
そこで…〈配偶者が『相続』をした場合、相当の金額まで「相続税」を非課税にする〉という仕組みがあります。そして、この仕組みを『配偶者の税額軽減』といいます。

 『配偶者の税額軽減』には、〈代替わりに課税する〉‥という趣旨の他に、〈配偶者の生活を保障する〉‥という側面もあります。また、〈財産形成にあたっては配偶者の貢献が大きい〉ことも、この仕組みが設けられた理由です。
ここでいう《配偶者》とは、戸籍上の配偶者であり、内縁や事実婚における配偶者は対象外です。婚姻の届け出があれば、婚姻期間が1日でもOKです。

 『配偶者の税額軽減』により非課税となる金額は、「相続税」の課税対象となる『課税価格』によって決まります。配偶者が『相続』する『課税価格』の合計額が、次のいずれか大きい金額までの部分が非課税になります。


  1. 1億6,000万円
  2. 『課税価格』の合計額×配偶者の法定相続分


つまり、『課税価格』が合計で1億6,000万円までであれば…その全てを配偶者が『相続』しても、「相続税」はかからないわけです。

 『課税価格』を4億円とします。妻が1億6,000万円を『相続』した場合、「相続税」はかかりません。
しかし、「法定相続人」が妻と子である場合…妻の法定相続分は1/2ですから、法定相続分に対する『課税価格』は2億円です。『配偶者の税額軽減』の規定が「1.」だけだとすると、1億6,000万円を超えた4,000万円に対して「相続税」がかかります。

 民法の定めた「法定相続分」を『相続』して、財産形成の功労者である配偶者にも「相続税」が課税されるの?…何か、納得できませんねぇ。そこで、「2.」を使います。
『課税価格』の合計額×配偶者の「法定相続分」までは、非課税です。「2.」の式で『課税価格』4億円の非課税額を計算すると、「法定相続分」と同額の2億円(=4億円×1/2)になります。『課税価格』の合計額が4億円の場合、配偶者の相続分が2億円までなら、「相続税」はかからないのです。

 では、『課税価格』が100億円の場合…「法定相続分」による非課税額は、50億円(=100億円×1/2)です。算式通りの規定ですから、妻の50億円までの『相続』に対しては、「相続税」はかかりません。いずれ妻が死亡して、子が『相続』すれば…そのときは「相続税」を課税できるので、50億円が非課税でも良いのです。(国は…)
ただし、後にこの妻が若い男性と再婚すると…妻が死亡したら、再婚相手の若い男性が《配偶者の非課税枠》を行使して、取りはぐれるかも(国が…)。
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